2023/03/28 11:22

日本で人気のバターチキンカレー

日本で人気のバターチキンカレーは北インドに位置するパンジャーブ地方の料理で、ヒンディ語ではムルグ(Murgh:鶏)マッカーニ(Makhani:バター)と呼びます。

パンジャーブ地方は、一般的にインド北部のパンジャーブ州からパキスタンの東北部にまたがる地域を指します。この地域は16世紀から19世紀までペルシャのムガール帝国の支配下にあり、アラブによるイスラム教の影響を強く受けました。その中で、グル・ナナックという人物がヒンズー教とイスラム教を批判したシク教を開き、パンジャーブ地方独特の平等主義が根付き、皆で共同炊事場を使うようになりました。共同炊事場には土や土レンガで作ったタンドール窯があり、家庭から持ってきた食材を調理できたため、この地方ではタンドール窯で調理することが習慣化されました。


                       【タンドール窯】

バターチキンはスパイスで調味したヨーグルトソースに漬け込んだ鶏肉を金串(シーク)に刺し、タンドールの中で焼いてから別に仕込んだカレーソースと合わる料理です。1947年にデリーで開業したモティ・マハル(Moti Mahal)というパンジャーブ料理レストランが発祥とされています。このレストランを開く前、現在のパキスタンに属するペシャワールのレストランでパンジャーブ地方の一部で食べられていたタンドリーチキンを提供したところ、人気を博したのでデリーでも提供することにしたそうです。


              【口の中でホロホロと柔らかくとろける鶏肉がたっぷり】

その後、タンドリーチキン用に鶏肉を漬け込んだマリネ液にトマトや牛乳、カシューナッツやスパイスを合わせていき、最後に生クリームやギーなどをふんだんに加えて仕上げるまろやかで芳醇なソースをタンドリーチキンに絡めたバターチキンが生まれたといわれています。