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2023/04/19 11:31
マス・リハはモルディブで代表的な伝統料理
モルディブの人々は昔から近海で獲れるカツオやマグロなどの魚を毎日食べています。ディベヒ語で魚を意味するMas(マス)という単語はカツオを指す言葉と同じというほどです。
そのモルディブで代表的な伝統料理とされているのがマスリハ(Mas Riha)です。直訳するとMas(魚=カツオ)のRiha(カレー)です。マスリハにはロシ(Roshi)という平らなパンかライスとともに提供され、Fiyaa Satani(フィアサタニ)というオニオンサラダを添えることが多いそうです。
モルディブという名の由来
インドの南西に浮かぶ美しい環礁群を擁するモルディブ共和国。火山島が沈降し、波によって侵食されて海に沈んだあとサンゴ礁が積み重なってリング状に繋がり、その内側にラグーンと呼ばれる浅い海を取り囲んでいる26もの環礁によって構成させています。
モルディブという名前は、この美しい環礁を表した言葉にあるようです。インドを中心に南アジアや東南アジアで使われた古代サンスクリット語ではMALA(花輪)とDEEP(島々)という言葉があり、これらを合体したMalodheep(マローディープ) という言葉にルーツがあるとされ、現在使われているディベヒ語でも“島々の花輪”という意味になります。
小さな島々での暮らしや工夫
モルディブには小さな島々が約1200もありますが、そのうち人が住んでいる島は約200とされています。モルディブ政府は海外から来る観光客が滞在するリゾート島と、国民が暮らすローカル島を区別しています。これはモルディブの主要産業が観光業ということと、国民の多くがイスラム教徒ということに由来しています。イスラム教では飲酒や過度な肌の露出は禁じられているので観光客がリゾート地として楽しむ島と、国民が宗教を重んじて生活する島を分けているのです。
ただし、首都があるマレ島でも東西が約2.5㎞、南北が約1.5㎞しかありません。しかも、ここに全人口の約1/3にあたる約14万人が住んでいるという世界屈指の人口密度です。この小さな島だけでは全ての国家機能を完結することはできません。そのために、マレ島から約2.5㎞に位置するフルレ島にヴェラナ国際空港を作ったり、「造船の島」とか「学校の島」、「ごみの島」、「囚人の島」などといった機能を持たせたりしているのだそうです。現在、ヴェラナ国際空港とマレ島は道路が繋がっていますが、Dhoni(ドーニー)という伝統的な小型船も運航していています。観光客は空港からドーニーに乗り換えてリゾート島に向かいます。
伝統的な漁業とカツオの保存方法
モルディブにとって、もう一つの主要産業として挙げられるのが漁業です。モルディブの人々は昔から近海で獲れる魚を毎日食べていて、中でもカツオは全漁獲量の7割を占めています。これは赤道に近いモルディブは海水温が高いため、カツオにとって世界有数の産卵地域になっているからと言われています。そのせいかディベヒ語で魚を意味するMas(マス)という単語はカツオを指す言葉でもあります。それほどカツオは人々にとって身近で大切なタンパク源であり産業を支える大事な資源なのです。
モルディブでは、主にAtoll(アトール)と呼ばれる環礁でカツオを中心とした一本釣りを行っています。漁民たちは並んで釣りがしやすいよう甲板が広く、浅瀬でも座礁しないよう船底が平たくなっているMas Dhoni(マスドーニー)という漁船を使います。大きいものでも20トン程度の船の魚槽に氷を詰め込んでから早朝に出漁し、途中、ラグーンで撒き餌に使う小魚を獲ってから漁場に向かい当日中に漁を済ませて戻ります。
ところが漁場は季節や天候・潮流などによって変化するので毎日安定した量の魚が獲れるわけではありません。しかもモルディブは熱帯性気候のため、カツオやマグロをはじめ近海で獲れた魚は鮮度保持が難しかったという問題がありました。そこで古来より、鮮度低下を抑えて保存性を高めると同時に防虫を目的とした塩干や焙乾などの加工技術が発達してきたと考えられています。
特にカツオの場合は鮮魚のまま流通することもありますが、鮮度劣化が早いため焙乾などの加工をしてから流通するのが一般的です。加熱加工する場合、水揚げしたカツオは生切り(頭を切り落として内臓をとる作業)した後、煮熟してから焙乾します。1日だけ焙乾したものは水分が残っていて日本のなまり節に近く、ワローマスと呼ばれています。焙乾と天日干しを繰り返して乾燥させたものは水分が抜けていて日本の荒節に似ており、ヒキマスと呼ばれています。そのほかにも、カツオは缶詰にしたり、原料を煮熟した後の煮汁を濃縮してリハークルという調味料を作ったり、ヒキロヌアリという塩蔵カツオを作ったりと日本の加工方法とも共通する面が多数あります。
また、モルディブで作られるヒキマスは国内で消費されるだけではありません。外貨を稼ぐ主要品の一つとして位置づけられていて、主にスリランカに輸出します。そして、スリランカではウンパダカダ(モルディブフィッシュ)と呼ばれ、カレーやサラダなどに不可欠な素材として様々な料理に活用されています。
■商品紹介:マス・リハ 500g